術後、変化した部位が身体化内面化されていくと、元の自分を思い出せなくなる、というのはよくある話です。思い出せないどころか、一重まぶたを二重にした人が、
「私はもともと二重だった」
「奥二重だったのを二重にしてもらった」
と言い出すことも実は珍しいことではありません。
豊胸された方が、ご自分の昔のAカップの胸を忘れるということはほとんどないように思いますが、顔のパーツというのは、毎日見ているはずなのに?毎日見ているからか?記憶が塗り替えられてしまうようです。
お鼻の手術でも、プロテーゼを抜いただけなのに「昔より低くなってしまった・・」。高い鼻に見慣れてしまうとそうなります。プロテーゼで高さが出ているのに「前と変わらない」と言う方もいます。
このような場合は、Before After画像を並べてご確認いただくととても驚いた表情をされるのが印象的です。
かなり攻めた鼻中隔延長を受けた方でも、術後まもなくの大きく腫れた状態にもかかわらず「あまり変わっていない」と言い出すケースもあります。
何がそう言わせるのか、こうしたことを心理学や認知科学を一から学んで研究するには時間がかかりすぎるので、手っ取り早くChatgptに聞いてみたところ興味深い回答がありましたので記事にしてみました。
ー記事の目次ー
- 論理と心理メカニズム(Chatgpt)
- 術後の認知変化に影響する要因一覧(Chatgpt)
- 雑感
(Chatgpt)美容外科手術後の「変化がない」にはいくつかの理論や心理メカニズムで説明することができます。
1. 認知的不協和の解消(Cognitive Dissonance Reduction)
人は、自分の選択や行動と現実の間に矛盾が生じると、心の中に「不快なズレ=認知的不協和」が生じます。
例:
「私はお金と時間をかけて手術を受けた」
↓
「でも“整形した”と思いたくない」
↓
「最初から二重だったことにしよう」=矛盾の解消
手術をポジティブに正当化し、自我を守るための心理反応です。
2. 自己概念の再構築(Self-concept Recalibration)
美容整形によって外見が変わると、**「自分とはこういう存在だ」という自己像(セルフイメージ)**が書き換わります。
その結果、記憶や過去の自己像すらも新しい自分に合わせて修正されることがあります。
例:
「今の自分=自然に二重の人」→ 過去の自分(=一重)は無意識に“他人事”になっていく。
これは脳が“今の自分”を軸に過去を解釈し直す、ある種の記憶の再構築現象です。
3. 選択的記憶・記憶の再編成(Selective Memory / Memory Reconstruction)
人の記憶は完全な再生ではなく、毎回「再構成」されることがわかっています。
そのため、過去の外見に関する細部の記憶が曖昧になると、現在の自己像に合うように脳が“都合よく”記憶を書き換えることがあります。
4. ナルシシズム的防衛(Narcissistic Defense)
特に外見に強い価値を置く方の場合、自尊心を守るために「整形=欠点の克服」とは捉えたくない心理が働きます。
その結果:
「私は最初からこうだった」
とすることで、“整形した自分=劣っていた過去の自分”という構図を避け、自尊心を保つのです。
まとめ:この現象を生む主な心理メカニズム
- 認知的不協和の解消
- 過去との矛盾を避けて心の安定を保つ
- 自己概念の再構築
- 外見の変化に合わせて「自分らしさ」の定義が変わる
- 記憶の再編成・選択的記憶
- 現在の自己に合うように記憶が“上書き”される
- ナルシシズム的防衛
- 過去の自分を否定せず、自尊心を守る
このような心理反応は、手術を受けたご本人にとって自然な適応であると同時に、美容外科では術後の心の変化にも配慮することの重要性を示しています。
(院長は、3、4をしばしば実感するそうです。続いて術後の認知変化に影響する要因についてもChatgptに聞いてみましたのでお読みください)
🧠 術後の認知変化に影響する要因一覧
1. 顔にまつわるトラウマ(Body Image Trauma)
✔ どう影響するか:
- 顔に対するいじめ、差別、比較、無視などの過去の経験が深い心的外傷となって残っていると、
- 手術後に「過去の自分」を思い出すことが苦痛になり、意図的または無意識に過去を否認する心理反応が起きやすくなります。
✔ 臨床的に見られる傾向:
- 術前写真を「見たくない」「もう消して」と訴える
- 「こんな顔だったなんて信じられない」と強い拒否反応を示す
2. 自己憎悪・自己否定の強さ(Self-hatred / Shame)
✔ どう影響するか:
- 自分の顔に対して強い憎しみや恥を感じていた人は、それを「他人事」にして切り離そうとする傾向があります。
- その結果、「私は最初からこの顔だった」「一重だった記憶がない」という過去否認的な認知の歪みが起こりやすくなります。
✔ よくある背景:
- 家族や恋人に否定された経験
- SNSや芸能人との過剰な比較
3. 手術に対する「救済願望」や「理想化」
✔ どう影響するか:
- 「この手術が人生を変えてくれる」という過度な期待や依存があると、術後はその効果を正当化する方向に認知が働きます。
- 自分の過去に否定的すぎると、「手術前の自分」ごと心理的に切り離そうとします。
4. パーソナリティ傾向(例:解離傾向・境界性など)
✔ どう影響するか:
- 解離傾向が強い人(ストレス時に記憶の断絶や感情の切断が起こるタイプ)では、記憶の再構成がより顕著になることがあります。
- 境界性パーソナリティの傾向がある人では、「過去の自分は“完全な悪”」「今の自分こそ“理想”」といった二極化思考も見られやすいです。
5. 外見に強く依存した自己価値(Appearance-based Self-worth)
✔ どう影響するか:
- 「私は顔がすべて」「外見こそ自己の価値」という認知スタイルの人ほど、過去の顔を“自分ではなかった”とみなしたくなる傾向があります。
- こうした人にとって「術前の自分」は“間違ったアイデンティティ”と感じられるのです。
💡補足:これらの背景がある場合、起こりやすい反応
術後の認知的反応→影響しやすい心理的背景
- 過去の顔を否認する→自己憎悪/トラウマ/解離傾向
- 「もともとこうだった」と思い込む→認知的不協和/理想化/外見依存
- 術前の自分に対する強い拒否感や羞恥心を持つ→トラウマ/外見コンプレックス/羞恥心
- 術後も満足せず、また手術を繰り返す(修正依存)→完璧主義/パーソナリティ傾向/対人不安
✅ まとめ
「私はもともと二重だった」といった記憶や認識の歪みは、
単なる嘘や虚栄ではなく、**自己防衛や心の整理としての“無意識の適応反応”**です。
そしてその背景には、
✔ 顔に関するトラウマ
✔ 自己否定の強さ
✔ 外見への過剰な期待
✔ パーソナリティの傾向
などが複雑に絡んでいます。
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Chatgptの回答は以上です。
雑感
術後の「変化がない」という言葉の裏にあるもの
「術後の心の変化」を意識している美容外科は少ないのではないでしょうか。院長によると、実際に、術後の患者様の心には、さまざまな認知的・感情的な変化が起こっているのをダイレクトに感じることがある、とのことです。
たとえば、患者様の「変化がない」という言葉は、単に不満の表明と決めつけられない場合があります。それは「見慣れた」「新しい自分にうまく適応できている」という、ポジティブな受け止め方の一種であると考えることもできます。
術後の心の変化に寄り添うためには
術後の心の変化に寄り添うために、美容外科ができることは、心の変化を理解することと、Before・Afterの画像をきちんと残すことだろうと思います。術後になかなか来院できない患者様の場合も、Before画像さえあればいつご来院されても比較することができます。
変化をしっかりと実感されている患者様の多くは、ご自身で比較画像を保存されています。「見て」「確認して」「納得する」というプロセスをご自分で行っています。
院長によると形成外科では「1に画像、2に画像、とにかく画像を残せ」と言われるそうなのですが、画像は症例を収集するためだけでなく、患者様の心に寄り添うための重要なツールでもあると考えるとより納得できます。
クレーム?心の反応?その見極めには背景の理解が必要
患者様の「変わっていない」という言葉に対し、画像も適当でカルテも適当な美容外科では患者様を「変化しているのに変化していないと主張するクレーマー」と決めつけていないでしょうか。
美容外科に術後の心理的変化に対する理解と画像比較の準備があればもしかしたら円満に終わるかもしれません。
患者様は本当は変化しているのに「変わっていない」と感じ、美容外科がそれを理不尽なクレームと一蹴したのでは、手術がうまくいっていても双方が残念な結果に終わることになります。
変化はじわじわ起こることもある
美容手術の効果は、術後すぐに現れるとは限りません。
ときには、「あまり変わっていない…」と感じていた数ヶ月後、ふと鏡を見た瞬間に「あ、綺麗になってるかも」と実感することもあります。
いわゆる“AHA!体験”のように、施術によってはじわじわと変化に気づくプロセスを辿る方もいます。
毎日患部を見ていると変化に気づきにくいです。
SNSに出てくるBeforeAfter画像は、多くのクリニックは「映える画像」を選別し、場合によっては「加工」で劇的に演出します(美容外科は超レッドオーシャンで、技術はなくても画像で勝つクリニックに人が流れます。これが現実です)。そのような画像が全てだと誤解せず、人によっては時間がかかったり、SNSの画像ほどの変化がない可能性があることもあらかじめ知っておくことが大切です。
本当に変化が出ていないケースも・・
もちろん「手術を受けたのに本当に変化がない」という場合もあります。患者様の思い込みではなく、本当に変化していないケースです。これも術前術後の画像があれば正確に判断ができますし、患者様もしっかりと主張できます。お鼻についてはしっかり内部を処理したのに「瘢痕の増殖が著しい」「皮膚が厚すぎて結果が出にくい」という場合もあります。前者は残念ながら体質で、後者は通常事前にリスクの説明があります。
最後に
術後の「変化がない」という言葉には、さまざまな背景があることがわかりました。
- 見慣れてしまった結果、変化を感じにくくなっている
- 適応がうまくいっており、新しい自分を自然に受け入れられている
- 実際に変化が出ていない
- 手術前の自分との比較材料がなく、実感が持てない
それぞれを踏まえて患者様の「心の変化」にも配慮した術後ケアとコミュニケーションを持つことが大切だと痛感します。
今回はChatGPTの回答をもとに現場の肌感に照らし合わせ記事を作成しました。先々こうした研究に触れる機会があればまたご紹介します。
<<医師監修のスタッフブログです>>
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院長コメント
当院には、「全切開二重術を行ったところ、二重ラインより睫毛側の皮膚にたるみができた」と仰る患者様が来院することがあります。その際には二重ラインより下方の皮膚切除を行うことで改善します。
しかし二重ラインのキズに幅があると、この修正によって二重の幅が広くなることがあります。従って、このような場合にはキズとなった二重ラインの形成を行い、再癒着しないようにご希望の二重ライン上に埋没法を行い、その後皮膚の余りを考慮して再度全切開を行います。
こちらの患者様は、二重ラインは瞼縁より10㎜のところにあり、切開部は陥没し、癒着していたため、今回は現在の二重ラインを形成し、埋没法で新たな二重ラインを作りました。結果、二重幅を変化させずにたるみを除去することが出来ました。
手術4ヶ月後、瞼を閉じた時の赤矢印が以前の二重切開線で、青矢印は埋没法の痕になります。この手術の欠点は、以前全切開した傷跡を切除しないため、その瘢痕が残ることです。
一方切除しないことで、二重幅に大きな変化を与えないことが利点です。
この患者様は、今後青矢印の埋没法のラインで再度全切開を行うことになっています。